小工場の聖良さん

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「き、今日からこちらにお世話になります、久留米聖良です。ふ、ふつつか者ですが、よろしく、お願いします」  パチパチと、疎らな拍手が私の体温を急上昇させる。 「そう堅くならないで久留米さん。私達は今日からもう仲間なんだから。私は班長の山田よ。分からない事があったら遠慮しないでなんでも聞いてちょうだい」  よかった。いい人そう。  一番の不安は人間関係だったから、少しは気持ちが和らいだかな。 「でも若いわねぇ。去年まで高校生だったんでしょ? アナタみたいな若い子が入ってくれて職場が華やかになるわぁ」  確かにずらっと並んだ先輩方を見れば、年配の方が多い感じです。  でも山田さんは班長をやっている割には若いと思う。予想では20代後半から30代前半かな。  先程の発言は完全に他の従業員への当てつけに聞こえましたが、誰も気にしていないようなので私も気にしない事にします。
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