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「久留米さん、どうやら山田さんに気に入られなかったみたいね」
言っている意味がすぐに理解できず、私は慌てて釈明を求めました。
「な、なんでですか? ワタシ、山田さんに何か嫌われるような事しました?」
静かに首を振る鈴木さん。
「何もしてないから、嫌われたの」
思わずキョトンとしました。
「あの人、自分に利益のある人にしか優しくしないの。初めに優しくするのも、後で見返りを求めているからこそなのよ」
ますますキョトンとする私。
「私達も初めは色々言われたけど、お昼を奢ったり、代わりに仕事をしたりとにかく持ち上げて何とかご機嫌をとりながらやっているわ。ごめんなさいね、もっと早く教えてあげるべきだったわね」
……なるほど。
山田さんは私が使えない部下だと分かり、態度を急変させたみたいです。
なにそれ、って感じです。普通にパワハラってやつじゃないんですかそれ。
「上の役職の方に山田さんの事を言ったのですか?」
「いいのよ別に。下手に逆らわず太鼓を持っていれば被害は無いんだから。余計な揉め事は起こしたくないし。久留米さんもここを続けたければ私達のやり方に従った方が吉よ。あ、そうだ。久留米さん若いんだし、男友達の一人でも山田さんに紹介したら態度を改めてくれると思うわよ」
男友達なんかいないですし。
忠告を受けたワタシでしたが、決して私は山田さんに媚びなど売ったりしませんでした。
当然ながら山田さんの差別的な態度は、収まる気配を見せません。むしろ日に日にエスカレートしていきます。
それでも生れつき忍耐力だけはある私は、ひたすら耐え続けました。
何より負けず嫌いでしたので、逆に負かしてやろうと考えに至りました。
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