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鶴崎の家が大好きだ。
あんな腐ったつまらない物が詰まった家なんかよりも、居心地がよくて暖かい。
鶴崎が仕事でいない日は、テレビを見たり本を読んだりして過ごした。
あの家に帰る選択肢は、無かった。
私は鶴崎が大好きだったけれど、彼は私から距離を置こうと必死になっている。
まず、彼は自分から私に触れない。
それに彼は私を視界に入れないようにしている。
突き放そうといつも酷いことを言ってくるけれども、その言動の端々には優しさが含まれていることを知っている。
本当に迷惑なら、今頃私は高架下のもとへ逆戻りだろう。
それでも彼の距離を置く姿勢に心が痛まないわけではない。
あの地獄から救ってくれたことに感謝している。
この家に置いてくれていることに本当に感謝している。
だけどねえ、鶴崎。
貴方の瞳の奥にいるのは、いったい誰なの?
わからないことだらけの中で、私は鶴崎に不毛な恋をしていた。
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