1.あの子の名前

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それにしても、遊ぶのは無理そうだ。寒気がしてきて、たぶん朝より熱があがってる気がする。待たせておかないで帰ってもらえば良かった。 「ヒロム、ごめん」 「えっ?」 「なんか、熱あってさ。帰りたいかも」 「はっ?まじで?」 「うん」と、言うと、私の額に手を当てた。 「熱いって。バッカじゃねーの?休めばよかったのに」 「だって、人足りないと思ったから言えなくて」 「ぶっ倒れたら、どうすんだよ?」 「ぶっ倒れるわけないでしょうが」 「心配だから、送ってく」 そんなこと言わなくてもいつも送ってくれるくせに。 「うん」 「吐き気とかない?」 「うん。少しだるいくらい」 「無理すんなよな」と、急に手を取るから、なんかドキッとした。
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