1.あの子の名前

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目を丸くして驚いたかと思うと、「ごめん」と勢いよくドアを閉められた。 一瞬、なんで慌ててるんだろうと思って下着しか身につけていない足に気づいた。 よろよろしながら着替えて、「大丈夫だよ」と声をかけると、ゆっくり顔を覗かせた。 「これでいい?」とアイスノンと冷えピタを見せた。 「うん。美味しそうなのはなかったんだ?」と笑って、ベッドに腰をかけた。 なんか友達みたい。こういう反応。もう一歩くらい、近寄ってほしいのかもしれない。 この距離はなんなんだろう。 そう思ってようやく私は、お試しとか友達っぽいとかそういうことではなく、ヒロムに一定の距離をとられていることに気がついた。
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