1.あの子の名前

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「早く寝たら?」とヒロムは、あぐらをかいた。 「うん。ヒロムは?」 「寝たら帰るよ」 「寝たら?」 「うんうん」 「帰ったら寂しい」 「なに?どうした?」と笑うけど、こんなこと感じるのって、きっと普通なんだろう。 私たちにきっと、足りないのはこういう言葉のやりとりだ。思っていることを素直に伝え合う、そういう行為が足りないんだ。 だから、好きなのか分からなくなる。 「熱あるから、弱ってんだろう?」 「ヒロムだってこの前、風邪ひいてたくせに」 この前、高熱がでたって言ってた。だけど、お見舞いにも行かせて貰えなかった。その時、ヒロムは私のことを考えたりしたのだろうか。
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