1.あの子の名前

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「なんかダメだ」 無意識に言葉が口から出た。 「体調?」 「……も、だけど」 「ヒロム、私のこと友達だと思ってない?」 「はあ?なに言ってんだよ」 「思ってるでしょ」 「思ってないって」 「じゃあ、好きって言ってみてよ」 「本当にどうした?亜実らしくないこと言って」 「私らしくない?」 「なんか女みたい」と、ヒロムが言うから、本当に頭にきた。だって、私は彼女だというのに、女みたいって言葉はないだろう。冗談でも。 「女だよ。私だって、女に決まってる。分かった。もういい。ヒロムの気持ちはすごく分かった。私のことなんか好きじゃないんだ。もういい」 言い放って、ベッドの中に、潜り込んだ。 怒鳴ったせいか余計に頭が痛くなる。だけど、我慢できなかった。
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