1.あの子の名前

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翌日、学校に向かう坂の途中でヒロムから「おはよう」ってメールが届いた。 下り終わったら、信号が赤だった。その待ち時間で「おはよう」と返した。 少し寝坊をしてしまい、頭がまだ通常通りの機能に戻っていないせいかもしれない。朝の太陽がいつもより眩しい。 だけど、こんな風にいつも通りの行動をすることによって、段々とクリアになっていくのを感じた。 「亜実、おはよう」 教室につくと友人の千春(チハル)が声をかけてきた。 昨日のテレビの話をしてから、時間割を確認するように「次、世界史か」と言うと、「私、当たるかも。嫌だな」と千春は困った顔をした。 それから、「あ。ちーくんから世界史の教科書返して貰ってない!」と、千春が立ち上がると同時に廊下から、「ちーちゃん!」と声がした。 千春の彼氏の千秋(チアキ)くんだった。以心伝心したみたいに、教科書を持ってやってきた。 「ごめん」と深々と謝ると、「いいよ」って千春は言った。それから、今日、一緒帰れる?とかそんなことを話していた。 二人は元々小学校からの友達で家も近所で、学校も一緒。それなのに、飽きることもないみたいで、よくこうやって話してるところを見る。喧嘩はするけど、すぐ仲直りするって言ってた。
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