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思えば、ヒロムと付き合ったきっかけは、ほんの軽い出来事からだった。
バイトのみんなで集まってカラオケに行った日。ヒロムとは、前から仲が良かったからか、周りに付き合っていると思われていたらしく、そのことを尋ねられ、みんなに付き合ってないことを伝えると驚かれた。
それから周りに「付き合ってみたら?」と冷やかされたけど、ヒロムは嫌そうな顔ひとつ見せなかったし、否定的なことも言わないでただ笑っていた。
ヒロムのことはもともと嫌いではなかったし、気も合うほうだった。付き合うということに興味もある。
だから、なんとなく私が言ったんだ。その帰りに「付き合ってみる?」って。そしたら、「いいけど」って返された。
だから、ヒロムも似たような感覚で私のことを見ていたんだと思う。
少しお試しのような感覚がないとは言い切れないけど、付き合ってはいる。
だけどときどき私は、ヒロムのことが好きなのか、分からなかった。
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