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支度を急かされて揃って事務所を後にし、地下駐車場に着くとエティアが一台の車にツカツカと向かう。
「クレアちゃん、前に乗ってくれる?」
後部座席のドアを開けながらエティアが運転席の人物の姿に目を見張っているクレアに声をかけ、そのまま乗り込んだ。
「でも…」
躊躇している間にも車は急かすかのようにエンジンが掛けられるので、エティアの言葉に従い助手席のドアを開けた。
「失礼しま~す」
クレアが少しだけ緊張しながら助手席に座ると、後ろの席のエティアが窓を開けて立ち尽くすナナセを急かす。
「何やってるのよ」
「あの、私ちょっと…」
「知ってるわよ、約束があるんでしょ?だから送って行くって言ってるの」
「いいえ、そんな私のためにわざわざ…」
「…クレアちゃん、駅前で私とクレアちゃんのPV流れてるんだけど見た?」
「まだ見ていないです」
「そう!私も見てないの。見たいわよね?」
エティアの言わんとしていることを察したクレアが何度も頭を縦に振り、クレアもナナセに声を掛ける。
「ナナセさん、一緒に行きませんか?」
そこまで言われて諦めたのか、やっとナナセも後部座席に着席した。
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