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『…分かったわ。確かに、勝手に熱愛報道出されて根掘り葉掘り聞いてくる記者に嫌気さしたこと、私だって経験あるし。知らなかったことにする』
少し間を置いてエティアが答えたので、カンナは胸を撫で下ろすと仕事頑張れと伝えて電話を切り、そのまま更衣室へと向かった。
ジュンがナナセから決別の宣言を受けてから1週間が過ぎた。
一方的な言葉に納得がいかず、何度か理由を聞こうとメールや電話をかけても反応もなく、落ち込んでいた気持ちも少しずつ浮上してきた。
これ以上はしつこいと思われそうだなと考えていた頃だった。
「ジュン、ナナセ女史は元気か?」
休憩中に不意に投げ掛けられた挨拶にジュンの身体が強張らせると、そばにいたキースとカンナが声をかけてきたキリナの両腕を掴んでズルズルと引きずって行く。
「隊長、コーヒー奢りますよ」
「お、おい?」
訳が分からないといった感じで反応に困っているキリナを呆然と見送る。
あれから同僚の二人はナナセと何があったのか一切聞いてこなかった。
心配してくれているのは分かっていたが、ジュンが自分から話すまで聞かないでいてくれた心遣いが嬉しかった。
だからジュンは3人のことを追いかけた。
「先輩、今日飲みに行きませんか?」
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