鬼姫伝説

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 ある時、親戚の隣り村の村長が突然、死んでな。大急ぎで村人全員が葬式に行くことになったんだ。  その時、おじいちゃんは高熱が出てな、一人で留守番をする羽目になったんだよ。家のみんなが居なくなり大人しく寝ていると、どこからか物音が聞こえた。 儂は重い体を起こし、物音がする部屋に向かった。そこは、おじいちゃんのお父さんの部屋だった。  儂は恐る恐る開けてみると、ダム建設者達が必死になって何かを探していた。良く見ると、何かを探している者だけでなく、手に水筒とライターを持っている者がいた。  直感で何か危ないことをするんだなと感じ、勇気を出してライターを持っているダム建設者に体当たりをした。 しかし、捕まってしまい、殴られそうになった。  その時、家全体が大きく揺れ、地の底から這うような声が聞こえた。 「その子に手を上げるな! 出て行け!この家から出て行け!!」  声と共に突然、恐ろしい形相の鬼が現れた。ダム建設者達は真っ青になり、悲鳴を上げた。その時、儂はあまりの恐ろしさに意識が遠くなり気絶してしまった。  暫くして、ひぐらしの鳴く声が聞こえて目が覚めた。どのくらい気絶していたのか分からないが、そんなに時間が経っていない事が分かった。まだ、ダム建設者達の逃げ帰っていく悲鳴が聞こえていたからだ。起き上がり、庭園を見るとそこには、十四~五才くらいの緋い着物を着た美しい少女が佇んでいた。  その少女はダム建設者達が逃げていったであろう方向を眺めていた。ふと、見ると少女の手には、あの恐ろしい顔の鬼の面があった。そして少女の頭には角が生えていた。少女は儂に気づいたのか、振り向いて微笑み消えた。
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