東京の中心

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「なあ、思ったんだけど地球の中心ってどこなんだろうな?」 空気を入れて膨らませる子供用の簡易プールにどっぷりと浸かりながら、その表面を結露で濡らしたグラスから伸びたストローを咥えた男がふと呟いた。 「昔、すっげー昔だけどさ、確かそんなタイトルの映画あったじゃん? 俺見た時からずっと気になってたんだよね、地球の中心ってどこなんだろうな~って」 昔からの悩みなどと銘打ってはみるものの、本人の声色からもどこかどうでもよさを感じる。 まだ16歳ほどの成熟しきっていないその男の子は頭の上でぐらぐらとフィットせず揺れるサングラスをかけなおしまた一口ジュースを吸う。 ズズズ……と音がしてなくなってしまった。 「あ、地球の中心はこの地面の下、本当に球体の中心、重心部分だ! なんてつまんねー解答は無しだからな綾!」 「あんたじゃないんだからそんな事言う訳ないでしょ。それにそもそもどうでもいいし」 綾と呼ばれた少女は素っ気なく答えただけで再び手元の本へ視線を落としてしまった。 自分の会話に誰も興味を持ってくれないと察したのか彼は諦めたかのようにため息を一つつく。 「でも一度でいいから行ってみてーよなー、だって世界の中心だぜ? 中心。もしそんな場所があったとしたら中心にきたー! って感じするのかなー」 「ばっかじゃないの」
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