第1章

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描きたいものを描きました。 人がどのように学び、どのように大人になり、どのように愛を知り、どのように親になるのか。中でも、愛という広いその意味は何か。そんなことを考えながら書きました。 一人の女の子が親になるまでではなく、親の視点から娘の視点へと変化していきます。 一人で抱え込みやすい一人の母親が出会ったのは、何かちぐはぐな青年。日本家屋に、茶髪でピアスを開けている浴衣姿の彼は、どこか浮いて見える。それでも優しい眼差しをする彼に、母親は信頼を置いていく。 託児所を営むという彼に娘をあずけ、自分の愛を信じて歩みを進める。自分を肯定できない、様々な不安、そんな中で、青年は母親を静かに声をかけて支えていく。決して押し付けず、縁側で景色を眺めながら。 やがて娘は少女へと成長し、託児所の手伝いをするようになる。 自分につけられた名前の意味を見つめて、焦りながら大人になろうとする少女。そんな彼女に、青年ではなくなった大人の彼が、優しく寄り添う。時には叱り、時には笑い、そうして少女が成長するのを見守ってきた。 やがて淡い恋心を知り、それも成長だと笑う彼の包容力に、少女は手を伸ばす。 好きだから何をしてもいいわけではない。どのように愛するべきか、大切に想うとは何か。 知るべき時に知ることを教える彼。それを吸収しようとする少女が、真っ直ぐに成長していく様。永遠ではない時間や、両親に注がれる愛。待つことで得られる信頼と、青春の疾走感。 わがままを言うのとは違う。大人になり責任をもてる歳になったからこそ、少女は自分の願いを叶えるために動く。自分が一生を捧げたいと願った相手のそばで学び、焦るのをやめ、待つことも必要なことを知る。 少女は愛する男のそばで、妻になることを願った。
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