第一章 未練なケーキ

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 「あ、そうそう。4月定期異動でだいぶ人が動くみたいだよ。ハルは10月に緑が丘店にきたばっかだから、動かないとおもうけどさ?。店長、変わりそうじゃない?新入社員も配属されるって聞いたよ?」  「ふ?ん、だから?」  私と紀子は地元スーパーの同期入社の仲だ。もう3年。私は彼氏はいない、仕事で上にもあがれない、うだうだとした生活を送っていた。 でも、紀子は積極的にコンパなどで男と出会っては振ったり、振られたりのドラマチックな日常を送っていた。そして月に1度、私の部屋に上がりこみ、それまでの武勇伝を語ってくれる。  「いい男が流れてくるかもしれないよ?♪チャンス、チャンス」  ウイスキーのロックをぐいっと飲みながら歌うように言った。
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