第一章 未練なケーキ

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 チャンスねえ……  すっかり氷の解けた薄いウイスキーを飲みながら、考えた。いや、考えられない。だめだなあ、まだ好きなんだなあ。涙が出てくる。  「あ!なに泣いてんのよ!いつまでもうじうじしつこい女ね!まだ、山本くんのこと思ってるの?!いいかげん忘れなさいよ!!」  いやいや、2年付き合い、結婚の話もでていた男のことをそう簡単に忘れられるかって……  しかも別れ方がいきなりの音信不通。未練もあるでしょうが。  「……うるさい!未練があって悪いか!3ヶ月経っても……・ぐす……ふん……好きなんだよ!」  ウイスキーの酔いもあるし、紀子のセリフが胸に突き刺さったのもあるし、忘れられない私自身の情けなさに、悲しくなって涙が溢れた。  紀子の言うとおり、恋人たちのイベント、クリスマス直前に私の元彼、一樹とは連絡が取れなくしまった。
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