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六月三十六日の日曜日の夕方、駒林優希は消えた。
夕立に撃たれて服も身も心も、顔も涙で腫らした目も、人にすがりたい気持ちも、優希への、言葉にならない申し訳なさも、全部ずぶ濡れになり、結局、考えるまでも無く、泣くことしかできなかった。
もう帰る場所も着替える服も無い。
日が完全に落ち、人気の無い場所で私は昨日の服に着替えた。
無理矢理リュックに詰め込まれた昨日の衣服は、シワだらけで、人前に出られる見た目じゃない。
今私が頼れるのは…………。
中学の友達には手を借りたくない。
じゃあもう、一人しかいない。
私はまた駅に向かった。
「瑞樹さんいますか?」
辿り着いた場所にあるインターホンに私は言った。
「りな? どうしたのちょっと待ってて」
本当は来たくなかった。
優希のようなことになってほしくない。
それに、優希のことをどう話そう。
瑞樹は優希のことが……。
明日には優希が消えたことがバレる。
それに……瑞樹に隠し事はしたくない……でも……。
考えがまとまる前に瑞樹が玄関の扉を開けた。
街灯に照らされたお互いの顔を確認し、瑞樹は私の方に近づいてくる。
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