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「え…っと」
「こんな事言うと怒るかも知れないけど、俺はキスだって、それ以上だって夏生としてみたい、惚れた女にそれを求めるのは間違いじゃないだろ?」
「………エッチ」
「土台、男なんてそんなものさ、好きな子とそー言う行為に及ぶ…勿論、簡単にそんな事を出来るなんて思ってないよ…でも、そのうちそんな瞬間を夏生と迎えるかも知れないんだ、ちゃんと出来なきゃ話にならない」
「上条さん…?」
「んっ?何だって?きこえないなぁ」
「だから、上条さん…」
「んーっ…?誰を呼んでるのかな夏生は」
意地悪な男の子の様に、祐介は笑みを見せながら聞こえないふりをして見せる…夏生は口を一旦真一文字に結んでから祐介の方を怒った様な目で見て
「祐介のばかーーーーっ!」
顔を真っ赤にしながら名前で呼んだ、祐介はニヤリとしてから一言
「それで良いよ、夏生…」
そう言ってから夏生を抱きしめる。
抱かれた胸の中で夏生は『よろしくお願いします』と祐介の告白を受け入れて嬉し涙交じりにそう答えた。
イルミネーションの光はそんな二人を淡い光で迎え入れ、まるで二人きりの世界を演出してくれる、暫く抱き合って離れた二人はもう、客と従業員の顔ではなく、交際を始めた男女の顔に変わっていた、祐介は目の前の自販機で二人分の飲み物を購入し、夏生をベンチに座らせると、一つを夏生に手渡し、自分もプルタブを開けて一口飲むと夏生の隣に座った。
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