第1章

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あの時俺は朝から忙しかった。 市場は仕入れの小売店業者と観光客でごった返していた。 海産物の仕分けをしている友季子は市場のアイドル的な存在だ。 そんな俺と友季子は子供の頃からいつも一緒だった。 周りからは俺と友季子は恋人的な関係に思われていた。 それが正直俺には重たかった・・・ 友季子の気持ちは確かめた事はない、だけど海の男として駆け出したばかりの俺には恋愛は二の次に考えていた。 しかし、自分でいうのも何だが確かに友季子と俺はお互い想いあってはいたと思う。 そんな俺だが自分の気持ちを圧し殺しても漁師として一人前を目指していた。 そんな俺を周りが見かねたのか、はたまた友季子を見かねたのか二人の仲を結びつけようと冷やかしにも似た言葉が飛びかった。 その時だったイラついた俺が友季子を傷付けたのは・・・ 「こんな奴、好きじゃねえよ」 軽く発した言葉にどれ程の重味があったかは言った本人には分からない。 言われた相手が感じ取る物だ。
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