第1章

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大きな当たりを感じたのはようやく無線が鳴っているのに気付いた時だった。 組合仲間からの無線に違いないが、最初で最後になるかもしれない大当たりは決して逃す事ができなかった。 これまで大きな当たりを待ち望んでいた役不足の右腕を力一杯振り上げた。 ───ガツンとした手応えを感じた。 一本釣りは船の操船技術と己の腕にかけた忍耐力が物をいわす。 これまでにない当たりは俺の体を海底に引きずり込まんばかりでラインが唸りをあげていた。 両足を船の甲板にしっかりと固定し、数時間に及ぶ格闘が始まった。 目の前の波が高くなっている事に気付く余裕は無かった・・・
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