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「翼、今日からアンタも“メル学”に通うんだからしっかりするのよ?」
「…分かってるよ」
“メル学”とは、私立メルニア学園の事だ。
この世界の人間はオンとオフ人間分けられ、オンの人間はメル学に通うことになる。
幼等部から大学院まであるお金持ち学校。だからと言ってお金持ちしか入れないわけではない。
「翼がオンだなんて…まさかって感じよね」
「…」
メル学に通える生徒はオンの人間、つまり特殊能力がある人間だけ。
特殊能力…メルニアは、遺伝など関係なしに神に選ばれた人間にだけに与えられる力。
そんなメルニアが、つい先日俺に見つかった。
きっかけは…まぁ、単純な事だ。
ただ単に、俺がメルニアを持っている事を隠していただけだ。
「それにしても、今までメルニアを持っていたってどうして気づかなかったの?」
「…分からない」
「ホント、アンタは抜けてるわよねぇ。ほら、迎えの車来たわよ。行って来なさい」
「…行ってきます」
俺は今からメル学に通うということより、“あの人との約束”を破ってしまったということに落ち込んでいた。
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