純愛

第１章

魅惑と蠱惑なら間違いなく後者は選ばない。

この歳になれば、ある程度の分別がつく
後腐れのない関係を望むのは誰だって同じだろう？

二転三転する男の都合でも
何一つ文句も言わずに、こうして身体を投げ出し
乱れた肢体で見ている者を楽しませるように踊る

色づき、艶めいた、花。

暑苦しいくらいの熱気が籠った部屋の中で
灼けついた杭を穿(ウガ)ち、白く浮かんだ腰を掴む。

直立する感覚器を包む収縮は、程好く締め上げて
そして、弛緩を繰り返した。

射精にまではまだまだ時間がかかる。
いや、かける、と言った方が正しいのか。

保険をかけてもいいくらいの清らかで、滑らかな脚を割り
そこに隙間を開けずに入り込んだ先で、自らをグイグイと押し込んだ。

「……やけに喰いついてくるんだな」

もうひとつ、ぐっ、と押し込んだ所で腰を抱え上げた。

息を詰まらせ、
迫り来る何かに耐えようと、腰を抱えた腕を掴み、身体だけを乱す三枝(サエグサ)を崩してやりたい。

それにはまず、ココをどうにか慣らしてやらないと
イケるところまでもイキつかない。

ゴリ、と圧(オ)して軽くノックして
また、圧して、ノックして

とにかく中の奥を焦らし、叩きながらその時を待った。

虚ろな瞳が空を捉えたまま、白と黒を行き来させる。
喉が張り付くくらいの喘ぎと嬌声が三枝の極度の緊張と膨張を何度も何度も連れてくる。

何時もは変わらないメゾソプラノの変調だ。

白いシーツがビチャビチャと音を立てた。
クネらせ、逃げようと藻掻く身体を押さえつけて
耳許で囁く。

「逃げたら、お仕置き」

ヒュッ、と喉を鳴らす。
そして、また人とは思えない唸りで啼き始める。

ただ、射し込んでいるだけで、勝手に昇る身体は限界を脳に伝えない。

「ここまでデキるんだったら本望だろ？」

三枝は荒っぽく抱かれるのが好きな女だった。
だから、期待に応えてやる。