第1章

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やっと、一息ついた所へ至福を打ち破る振動。。 「ま、幸せなんてこんなもんだよな」 薄っぺらい笑いで返しスマホを見ると テロップに流れた文面に、また笑いが起こった。 『お願いだから、ブルーベリースコーン!!』 「飯はちゃんと食ったんだろうな」 さっきから独り言のオンパレードだ。 誰に聞かせる訳でもないそれは24にもなって まだ家でゴロゴロしている可愛い娘に向けられたもの。 そんな歳になってまで食い物の心配なんて無用だろう? 親が甘やかし過ぎたんだ。 おいおい、甘やかしたのは、オレだろ? しかもブルーベリースコーン、ってあそこのだろ? 1日経ってくたびれてしまったワックスのまぶされた髪を くしゃくしゃと引っ掻いた。 まぁ、スコーンはオレも嫌いじゃない。 どちらかというとしっとりしたモノの方が好みだ。 女もそうだ。 抱くならしっとりと濡れた方がイイ。 ああ、そうだ。 急に三枝の事を思い出した。 予定は明日に変更だ。 オレも大概、気まぐれな男だな。 自分の都合で帰ると言ったり たまたま、思い出したからと言って割り込んだり…… 「どうしようもないな」 ククッと喉を鳴らした。 あぁ、独り笑いまで飛び出した、ヤバイな。 三枝に予定の変更をメールで告げ やっと煙草を灰皿に押し付けて、明るい夜空の下を走り始めた。
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