第2章

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センター試験を過ぎると後はいつも飛ぶように時間が過ぎていく。 塾生たちの嬉しい報告が沢山舞い込んできた。 センター利用での受験校が増えている為、ほぼ塾生たちはセンター受験をしている。 日程が重ならなければ主要大学を総ナメにする学生もいた。 2月の末あたりから本格的な合格ラッシュがそこかしこから聞こえてくる。 嬉しい限りだった。 なかには希望には届かなかった生徒もいる。 来年に繋ぐもの、第2希望に進学するもの、様々だ。 塾側はもう春期講習の準備が進んでいて、来年度の塾生のカリキュラム作成や、新規塾生の獲得に動いている。 黒川の指示で、また『塾長講習』をしなければならなくなったのには苦笑いしかでなかったが、ま、それも仕方がない。 いや、現場に出させてもらえるだけで有難いという事だ。 「塾長、宜しいですか?」 三島が近くの椅子を寄せて声のトーンを落とした。 「どうした?」 「後藤様の件、なのですが」 目と目で合図をして、その内容がハッキリ分かる、と言うのは三島との間では不思議な事ではなかった。 「そうなんだ、ヤツの思惑に合うようにしなきゃならないが、……それまでは普通にするらしい」 「そうですか」 入会を簡単に決めた後藤は週1で遊びにくるようになった。 だけど彼の意向にはまだ添えてはいない。 なんせ、うちのキャストには該当がないからだ。 全く、とんだ嗜好の持ち主だ。 いや、でもヤツならどうにでもなりそうなんだ。 そんな事は簡単に。
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