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有坂皆人くんの憂鬱なる一日 4
龍一と美百合の出会いについては、今回の事件のきっかけ、尾藤信也殺害の原因を聞いて、皆人も初めて知ることになった。
龍一は美百合の身を守るため、尾藤グループを真っ向から敵に回すことになったらしい。
そしてそのせいで、今回巻き込まれた谷口の妻、多恵のように、いつ美百合の身に危険が及ぶか、わからなくなった。
だから出会ったばかりの美百合を、誘拐さながらに、かなりの強引すぎるやり方で、龍一は世間から隠してしまったのだ。
そして美百合も、そんな唐突で強引な男を、しかもその後、4年間も音信不通になってしまった龍一を、ただ信じて、待ち続けたそうだ。
知り合って、たった一週間だというのに――。
呆れた、ふたりの絆だ。
それなのに今回、ほんの数日間距離を置いただけで、美百合が龍一を拒否してしまったと聞いて、
『監禁』うんぬんの話はとりあえず横に置いて、他に何か原因があったのではないかと、皆人は疑いを持つ。
例えば、色ボケシルバーマン『窪田』の魔手とか。
しかし、その件に深く突っ込むことは怖すぎる。
意地悪シルバー窪田に、多恵を託すしかなかった谷口の、逆ギレ様を間近で見せられた皆人は、つくづくそれを思い知らされている。
そこだけには話題がいかないように……。
皆人はこっそりと、龍一の怒りの矛先が向かないように、話題のコントロールを始める。
「というわけで、兄貴とみゆっちの、空白の4年を経た後の再会から、話を聞かせてもらおうか」
何が『というわけ』なんだ?
と怪訝な顔をする龍一に、
「何が原因かなんて、話の一部分だけ聞いてもわかるわけないだろ。ここは可愛い弟に心を開いてだね――」
龍一の顔は、見事に不快そうに歪んだが、やがて腹を据えたのか、ゆっくりと語り出した。
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