有坂皆人くんの憂鬱なる一日 6

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皆人と乃亜宛てに、有坂龍一と迫田美百合の結婚式の招待状が届いたのは、その一ヶ月後のことだった。 あまりの早業に目を白黒させていると、別封されていた私信に、 『美百合の気が変わるとまずいから急いだ。皆人と乃亜も、引っ越し等の慌しい時だろうが、是非とも出席してもらいたい。 二件に招待状を出すのは面倒だから、早く一緒に暮らせることを祈っててやるよ』 と書いてあった。 「こんな時にまで上から目線かよ。ここまで自己中だとかえってすがすがしいね」 と皆人は苦笑する。 スペースを開けて、文字が続いていた。 『やはり一緒にいることが、何より大切だな』 「なるほど……」 皆人は破顔する。 確かに、美百合が龍一を受け入れてくれた証拠を見せられて、ようやく安堵の息を吐く。 「捨てられなくて、お互い良かったよな、兄貴」 皆人の耳にも、台所で昼食の用意をする乃亜の気配が届いている。 きっと今頃、誰もいなくなった乃亜のマンションのポストに、これと同じ招待状がカタリと落とされたところだろう。 そんな場面を想像して、皆人の顔にも自然と笑みが浮かんだ。      Fin
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