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だが龍一の足は早い。
コンパスの差はないと信じているが、美百合へのラブパワーが、龍一にジェットエンジンでも搭載させたのか?
幸い、犯人たちが篭城している部屋の前の人だかりが、龍一の足を止めてくれた。
皆人は、ようやく龍一の肩を捕まえて引きもどす。
「待てよ兄貴。心配しなくても、ここにはプロがわんさといるんだ。みゆっちだってすぐに助けだされるさ」
龍一の結婚式に出席するため、この式場には、国の最高機密の特殊工作員メンバーが雁首そろえて集まっている。
一番戦力にならない皆人だって、警視庁の組織犯罪対策課所属だ。
この面子に囲まれて、犯人を取り逃がす、もしくは人質の美百合に危害が及ぶだなんてことは考えられない。
今日の日を選んでしまった犯人に、思わず同情するくらいだ。
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