マユコという女

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私はマユコの元へ通う。 妻がある身で、だ。 頭ではこんなことはいけないって分かっている。 でも、どうしようもなくマユコに惹かれる自分がいるのだ。 「いらっしゃい」 マユコは優しく私を迎え入れた。 連絡することもなく、突然寄ったのに。 「外、寒かったでしょう? 先にお風呂入って体温めたら?」 ・・・・・・どこまで気の利く女なのだろう。 バスルームにはすでに湯が張ってある。 北風で体の芯まで冷えてしまった私は、 遠慮なく湯に浸からせてもらう。 ふぅ・・・・・・気持ち、いいな・・・・・・ ガラス越しに見える脱衣所に、人影ができる。 マユコがバスローブやタオルを用意してくれているのだろう。 まるで、それが当たり前のように。 人心地がついた私にマユコが声をかけてきた。
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