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教室に差し込む光は未だ蒼く、見上げると目を開けられない程に眩しかった。それを光源に本を読んでいた下野倉由紀は、何かに操られたかのように、ハッとした様子で黒板の上にかけられている時計を見た。
16時50分。部活動や特別活動がない生徒は、17時に下校するのが校則であった。
そして由紀は、今度は時間に操られたかのように慌てた様子で本を鞄にしまい、教室を出た。
そして、まだ居てほしい、と心で祈り、階段を降っていった。
日が傾くまでは、もう暫くありそうだった。
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