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急いで階段を降り、待ち合わせ場所にしていた下駄箱に向かったが、その先で待っているはずの人は、もう既にいなかった。いつもの用に自分の下駄箱の中を確認すると、ちぎられたルーズリーフに
『もう少し早く来て。ごめん、先帰る。』
と書かれていた。
「あぁ、またやっちゃった…」
思わず独り言が漏れる。
このご時世、携帯やタブレット端末を持たない高校生は滅多にいないが、待っている事に望みをかけていた相手は、稀な部類に含まれる学生であった。
待ち合わせに遅刻することも、謝罪することも、伝えたいときに伝えられない現状というのは、少々の苛立ちとすれ違いを生むばかりであった。もちろん、遅れてしまったことに負い目があるため逆ギレなどは到底していいはずがないのだが、連絡がとれないのならとれないなりに、工夫はできるのではないか、という気持ちになる。
相手がわがままなのか、自分が傲慢なのかはわからないが、どちらも相手を思いやれていないというのは確かな所だった。
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