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由紀は決して自分勝手な性格ではない。ただ、あらゆる事に真っ直ぐで、時間の使い方や人との接し方が下手なだけだった。
今回もそう。本を読むと決めたから、読み耽ってしまっただけ。それだけなのだが、やはり約束を取り付けた以上は守らなければならないのも、至極当然のこと。
また、なんとも不運な事に、明日は土曜日。謝罪をしようにもできず、月曜日までどうすることも出来ないこのもどかしさを、由紀は耐えねばならなかった。
「はぁ…」
ため息が溢れる。
下駄箱から靴をとりだし、履いていたスリッパを仕舞う。
空は、まだ蒼さを残しながらも西の方が段々と紅くなっていた。
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