文通

5/7
前へ
/9ページ
次へ
由紀は決して自分勝手な性格ではない。ただ、あらゆる事に真っ直ぐで、時間の使い方や人との接し方が下手なだけだった。 今回もそう。本を読むと決めたから、読み耽ってしまっただけ。それだけなのだが、やはり約束を取り付けた以上は守らなければならないのも、至極当然のこと。 また、なんとも不運な事に、明日は土曜日。謝罪をしようにもできず、月曜日までどうすることも出来ないこのもどかしさを、由紀は耐えねばならなかった。 「はぁ…」 ため息が溢れる。 下駄箱から靴をとりだし、履いていたスリッパを仕舞う。 空は、まだ蒼さを残しながらも西の方が段々と紅くなっていた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加