第1章

2/11
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
(私立天智高等学校) それは、俺、黒井 十進(くろいじゅうしん)が通う学校の名前だ。 この学校は、表では有名な就職率、進学率が高い高校だが、俺たち生徒の中ではまた違ううわさがある。 (この学校に古くからある旧校舎には生涯富と名声を得られる不思議なアイテムがある) このうわさは数十年前からすでに有名だったが、そのアイテムを知る人がいないということはまだそのアイテムは公の場に出ていないのか、とった人が黙ってるだけか、そもそもそれ自体がガセかのどれかで、俺はガセだと思ってる。 そんな俺は、今友達6人と旧校舎の入り口にいる。理由はとても単純で俺たちは肝試しをしにきたからだ。 あたりは昼間に比べ暗く、静かになった午後11時。 直前に俺の家でバーベキューを楽しみ、俺たちのテンションは最高潮に達しており、流れでこの旧校舎にやってきた。 「なんだかんだ、ここまでくるのは初めてだよな」 俺の友人の一人、喜田 勇二(きだ ゆうじ)が校舎にだれよりも先に近づき、俺たちに言った。 「ま、そりゃそうだろ。普段はここに来る前のフェンスで鍵かかってるしな」 勇二の疑問にそう答えたのはもう一人の友、三井 橙(みつい だい)。 俺たち三人は実は同じ中学だったが、そこまでの仲ではなかった。 しかし高校に入って同じクラスになると自然と仲良くなっていき、いまでは高校の中では一番仲良しな男友達といえる。 「つかホントは一人で探検する予定だったのにな・・・・」 そう言ったのは俺。黒井 十進。じつはちょっとした開錠マニアでピッキングが大好きというある意味この中で一番危ない男だ。 もちろん自覚してるし、可能な限りあけた鍵は閉めて帰るようにしてる。 また、ダイヤル式の鍵も4桁なら1時間もあればほぼ確実に開錠できる
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!