きみと僕の答えは蝉時雨の中

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けれども一丸にそういい募ることもできない。 彼女の質問は簡単ではない。 僕は書籍を開いて気になる項目を拾う。 フィニッシュノートと自殺はまるで関係ないけれど、仮にノートを製作するとして最後に自殺で死ぬとは書きたくなかった。 誰かに看取られ、願わくば布団の上で静かに逝きたい。 誰だって苦しみたくはない。 ましてや、医療ミスなんて死んでも死にきれないし家族の悲しみも強いはずだ。 だけど、そこまで考えてはっとする。 家族って両親が先に亡くなったあと嫁や子供ということだよな。 僕にそんな家族ができるんだろうか。 家族や身内がいなければ終活もフィニッシュノートも遺言書も要らない。勿論、保険もだ。年金も貯蓄も要らない。入る墓も要らないかもしれない。災害で身元不明で亡くなる危険性もある。
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