きみと僕の答えは蝉時雨の中

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嫌ならとっくに別れているし、嫌なら帰り道を一緒になんて歩かない。 綺麗事を嫌う彼女の真っ直ぐな黒髪と長い睫毛にぱっちりとした瞳を横目に僕は伸びた影を踏んだ。 「君の問題はいつも難しいよ」 「そう言いながら貴方はいつも考えている」 淡々とした語り口で彼女は踏み切り前で足を止めた。 僕も足を止める。 遮断機がゆっくりと道を塞いで、電車が流れていった。 真夏の蒸し暑い風を覚えている。 結局、彼女の疑問には答えられないまま終る。 男友達に言わせると、彼女と僕の付き合いは見ていて宜しくないそうだ。 それは僕も思ってしまう。 けれども彼女の疑問に僕はついつい引き寄せられてしまうのだ。
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