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PROLOGUE
ふわふわとする意識の中で、ここがどこだったのかも、自分が何をしているのかも定まらない。
でも、堕ちていく感覚に中で確かに感じた満たされたという感覚。
「も・・・むりぃ・・・」
「っは、どこがだよ。腰振ってんのはお前だろ。」
そう言われて、カッとなる体に自分の中心がじんわりと熱くなるのがわかる。
途端に、視界が反転して自分の下に横たわる男が映る。
男は、髪をかきあげてペロリと唇を舐めると、妖しく口角を上げている。
「いー眺め・・・動けよ。」
「ぁ・・・む」
「おら、無理じゃねぇーだろ。」
「ん、あぁっ」
拒否を拒否とせずに、有無を言わさず下から突き上げられる。
挑発する目に、体はしっかりと反応している。
恥ずかしいのに、それが厭らしく身体を刺激する。
あぁ、堕ちていく。
この感覚を、私はずっと欲しがっていた。
長い間、誰にも預けなかった体がゆっくりと開いて、溶けていくのがわかる。
ダメだ。
この時間が終わったら、全部忘れなきゃ。
でも・・・今夜だけ・・・
ゆっくりと焦らすつもりもないのに、焦らすように動いてみせる。
ぎこちない動きは、男をさらに焦らしてしまったのだろうか。
舌打ちの後に、下から吹っ飛んでしまいそうなほどの快感が襲ってくる。
薄明かりの中、快感で弓なりに身体がそれる。
もっと、もっと・・・
もっと強い刺激が欲しい。
焼けただれてしまいそうなほど、熱く、痛いくらいの強い刺激が欲しい。
「っち」
舌打ちが聞こえたと思ったら、腰に添えられた手に力がこもった。
ぐっと、そのまままた視界が天井に向けられた時、上から降ってきた男の汗に胸がキュンとしめつけられる。
あぁ、私なんかの体で気持ちよくなっている。
こんなに余裕がなさそうに、必死な顔をしている。
それは、私にとってとんでもなく満たされる感情だった。
もっともっと、気持ちよくなって欲しい。
もっともっと、私を女にして欲しい。
欲望は、願ってもいないのにどんどん湧き出てくる。
こんなに落ちてしまうのが怖い。
それを知ってか知らずか、男はまた妖艶に笑って汗の滲む額に口づけを落とす。
たった一度の、私の火遊び。
人生で初めての・・・
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