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「女性のクチコミはCM広告と同じくらいの威力があります。SNSなどでのつぶやきや記事、友人同士でのやりとりなど、ねずみ式に増えていくことを考えても、現状で威力はあります。
藤和の今期の武器のひとつになることでしょう。また、藤和はここ5年でオンラインショップにも範囲を本格的に広げています。これまで店頭販売が主力だったものをオンラインショップとの2軸にして、遠方のお客様の獲得もこれでさらに拡大予定です。
情報の行き交う今だからこそのいい意味での革新を図ったおります。そこにうちも乗っかりたいと思っております。これからの藤和が進化するのと同じに、当社も大きく進化、発展していく確信があります。
今、この機会に藤和とのパイプは手放せません。」
シンとする会議室に、エアコンの音がやけに大きく聞こえる。
昨日、部署で熱弁したのと同じように、重役のいるこの場でも自分の企画書をプレゼンする。
この場に来るたびに感じる緊張と、圧迫感。
何度経験しても慣れないな。
それに、今日はさらに落ち着かない・・・
「うん。藤和はうちにとっても長いお客さんだ。その客先が大きく成長する可能性のある今、うちが乗っかれないのは痛いしな。」
「ですが、コケれば痛手にもなり得る。」
「高野さんのさっきの資料にもあっただろう。これがまだ上がる可能性のある評価なら、当たる可能性も上がる。私はいいと思うがね。」
「ありがとうございます。」
この企画会議に滅多に顔を出さない常務と監査役が話をしている。
たまたまこのあとの予算会議と報告会があるからと参加しているらしい。
まさか、こんなすごい人たちまでいるなんて会議室に入るまで知らなかった。
くそ・・・ビビリめ。
一杯やってから会議に出たい気分だ・・・くそ。
あぁー、速く終わらせて一本吸いたい。
あと、ビールと唐揚げ食いたい・・・。
目の前では、まだ何かを考えているお偉い方。
「ですが、今回こんな風になったのは、企画1課の責任です。ここまで予算をここにさくようなことをする必要がありますか?」
あぁー、やっぱりそう来るよねぇー。
もう、ほんと今日は嫌だな。
「ミスも、聞いたところによれば彼女の部下だって言うじゃないですか。その部下に支持を出したのは高野さんですね?それをこんな形で尻拭いとは・・・」
あぁ、この人やっぱ嫌い。
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