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「ただ、それがたまたま玲佳で、男顔負けに仕事も成績も出しちゃって、上がらなかった藤和の重い腰を上げさせて、人事からも上からも評価が上がって・・・あんた、係長の話来てたの断ったでしょ?」
「うぐ・・・」
「それも、青山さんのプライドへし折る動機につながったんじゃない?」
そう、一度係長の話をもらったことがある。
藤和が定期受注を入れてくれるようになって、やっとこさ数字につながってきたときに、その評価とかもあってかそういう話が課長からあった。
でも、当時は自分のことで手一杯でそれを抱えるだけの度胸が追いつかなかった。
だから、課長には「自分にはまだ早いから」と言って断った。
今は、課長が兼任している形となって席としては事実上空いている。
課長は「お前以外の適任が現れれば、いつでも席は空ける。お前が行けると判断したら、上には話を通す。」と言われて、人事部長に頼んで特別処置がされているらしい。
そんなことされるようなあれでもないのに。
なんだかなぁー・・・
「仕事は好きだけどさ、私それをもらっていいほどの仕事してるかね?」
「さぁ・・・でも、今回のミスをうまく挽回させてしまえば、上は動くでしょうし、今日のプレゼンだけでも、お偉いさん方にあんたの印象は付いたわけで・・・大宮課長も、やるわよね。ほんと。」
「あの人、どこまで見えてんのかわかんなくって時々怖い。」
二人して、プッと吹き出して苦笑い。
入社当時から、どうしてかお涼とは馬が合う。
次々に寿退社をしていった同期の女性社員の中で、残っているのは私とお涼くらい。
要は、余り物だ。
質の違う余り物だけど。
「そういや、同期会だけど。今回は出席してよね。」
「えぇー」
「えぇーって、海外の奴らも帰って来るらしいんだし、女を私一人にするつもりか?」
「・・・」
「もう、今更でしょ。2年も経ってんのよ?」
「・・・・」
「・・・無理に来いとは言わないけどさ、今回くらいは来てよ・・・」
「お涼?」
「・・・多分、あんたと参加の同期会なんて最後だろうし。」
少し顔を赤らめたお涼に、またかすかに残った女の私が顔を引っ込めるのが分かる。
あぁ、この子もやっぱり女なんだな。
私と違って・・・
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