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「・・・それで?」 「発注元に数の確保で電話してもらってます。1000個は無理でしょうが800まではなんとかなると思います。残りの200については式典が終わるまでに間に合わせる手はずで、藤和の担当とは話がついてます。」 「・・・なぁんだ、8割は片ついてんじゃねぇーか!」 拍子抜けするような素っ頓狂な声を出す大宮課長に、頭が痛くなる。 そんな簡単な話ではない。 確かに藤和は私が営業で数字も信頼も結果も出してきた。 だから、今回のミスは私のミスも同じ。 先方との信頼関係がなんとか首の皮一枚をつないでくれているが、今後はもうどんな些細なミスだって許されない。 しかも、向こうは70周年の記念式典を任せてくれている。 ほぼ一任してくれた。 それをこんな形で終わらせてしまうなんて。 発注ミスをしでかした当の本人は、メソメソと自分のデスクで可愛らしいハンカチを片手に泣いている。 数人の同期と男性社員がなだめているのが目に入って、さらにいらいらがましている。 「・・・ここの担当はお前だ。だから、お前が動いて、尻拭いもした。収まりそうなら、それでいい。俺は犯人探ししたいとは思ってないがな・・・」 大宮課長は、誰ともなしにその場にいる人間たち全員に視線を移した。 「・・・責任の文字の意味もわからん奴はいらん。自分の行動、言動の全てに会社の命運がかかっていると思って仕事しろ。」 低く響くような声に全員の背筋がシャンとする。 だから、この人はこの会社一番の激戦区と言われる営業企画部 企画1課の課長ができる。 部下の育て方をよく知っている人だ。 「・・・ハァー、新田さん。悪いけど外のメンバーに現状聞いておいてもらえる?それから、田中君と橋田君は引き続き発注元に連絡して後どれくらい確保できそうか聞いてみて。200には追いつかせたいの。」 「「「はい!」」」 散らばる社員を見届けてから、メソメソしている当の本人にこれからまた話をしないといけないのかと思うと胃が重たい。
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