3 予期せぬ来訪者

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両の拳を突き出したまま、まっすぐに高広を見つめる龍一の茶色の瞳は、わずかにも揺らぐことはない。 どうやら冗談を言っているわけではなさそうだ。 証拠に、 「だが俺が勝ったら、お前にもひとつ、いうことを聞いてもらう」 高広が予想した通りの条件を出してきた。 おそらくそれは、抗ウイルス薬の研究の続行。 「お前が俺に勝てるわけねーじゃん。俺を誰だと思ってんの?」 高広はわざと顎をあげて、龍一を見下しながら問う。 すると龍一は、 「世紀の天才さまだろ」 しれっと答えてから、 「選べ、腰抜け」 再び、握った拳にぐっと力を入れてみせた。 はっきりと高広を挑発する龍一に、高広は、 「……にゃろう」 腰を動かしてソファーに座り直す。
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