救いを求めた手

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アルト「強くなりたいなら僕が鍛えてあげる。明日、修練所においで。」 アルトに優しく頭を撫でられる。 アルトはまるで兄のようだ。 実際に兄がいない自分には分からないけれど、そんな気がする。 それから、アルトは思い出したかのように憂鬱そうに言った。 アルト「今宵の宴には出席しなければならないんだ。だから修練は午後からになるかもしれないよ。」 アルトのその言葉で、レーネが会議室で言っていた言葉を思い出す。 黒羽「イリア様……ですか?」 レーネがイリアという人が来る、とか言っていた気がする。 アルト「そうだよ、僕の婚約者のイリア嬢が来るんだ。」 アルトは鬱陶しそうに、深いため息を一つ吐く。 どうやら、婚約者のイリアのことを良く思っていないようだ。 黒羽「好き合っていないのに婚約者なの?」 まるで昔の貴族社会のようだ。 そういえば装飾品を見る限り中世ヨーロッパの雰囲気を醸し出している気がする、生活もそうなのだろうか。 アルト「イリア嬢は少し傲慢なところがあって、僕はあまり好かないんだよ。」 高貴な人は目下の人を見下しているイメージがある。 イリアもその類のひとなのだろうか。 生きる時代も違えば常識も違うのだろう。
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