455人が本棚に入れています
本棚に追加
/138ページ
アルト「強くなりたいなら僕が鍛えてあげる。明日、修練所においで。」
アルトに優しく頭を撫でられる。
アルトはまるで兄のようだ。
実際に兄がいない自分には分からないけれど、そんな気がする。
それから、アルトは思い出したかのように憂鬱そうに言った。
アルト「今宵の宴には出席しなければならないんだ。だから修練は午後からになるかもしれないよ。」
アルトのその言葉で、レーネが会議室で言っていた言葉を思い出す。
黒羽「イリア様……ですか?」
レーネがイリアという人が来る、とか言っていた気がする。
アルト「そうだよ、僕の婚約者のイリア嬢が来るんだ。」
アルトは鬱陶しそうに、深いため息を一つ吐く。
どうやら、婚約者のイリアのことを良く思っていないようだ。
黒羽「好き合っていないのに婚約者なの?」
まるで昔の貴族社会のようだ。
そういえば装飾品を見る限り中世ヨーロッパの雰囲気を醸し出している気がする、生活もそうなのだろうか。
アルト「イリア嬢は少し傲慢なところがあって、僕はあまり好かないんだよ。」
高貴な人は目下の人を見下しているイメージがある。
イリアもその類のひとなのだろうか。
生きる時代も違えば常識も違うのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!