救世主

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そして、わたしと男の子は近くの公園に場所を移すと男の子が「あそこのベンチに座ってて」と言ってどこかに行ってしまった。 ……どこに行ったんだろう? 少し不安になったけれど男の子はすぐに戻ってきてくれた。男の子の手にはお茶のペットボトルが2本あってそのうちの1本をわたしに差しだしてくれた。 「よければどうぞ」 差しだされたペットボトルを受けとり、わたしは「ありがとうございます」とお礼を言った。 「初対面なのに迷惑かけてすみません」 「気にしないで。そういえば、名前いい忘れてたけど俺の名前は黒崎恭也。君の名前はなんて言うの?」 「相田花音です」 「相田さんか、よろしくね」 恭也君はそう言って笑って、 「じゃあ、ゆっくりでいいから話してみてくれるかな?」 と言ってわたしに何があったか話すよう促した。 わたしは恭也君の言葉に頷き、廃マンションで肝試しをしたこと、肝試しをしてから同じ悪夢を見るようになったが誰も信じてもらえず苦しかったこと、それから廃マンションに花を供えて謝りに来たことを話した。 あまりに非現実的な話なので理奈達みたいに「偶然でしょ」と笑われるかと思ったけれど、意外にも恭也君は真剣に話を聞いてくれた。 話終えると恭也君は優しく微笑んで、 「それは今まで辛かったね。よく1人で我慢したね」 と、言ってくれた。
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