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恭也君の物腰柔らかな雰囲気と優しい言葉に今まで耐えてきた苦しみが涙となって溢れて止まらなくなってしまった。
わたしは溢れる涙をハンカチで覆いながら恭也君に訊ねてみた。
「や、やっぱり肝試しをしたから原因なのかな?」
そんなこと恭也君にも分からないだろうにわたしはバカな質問をしてしまった。けれども、恭也君は「分からない」とは答えなかった。
「俺の予想を言う前にいくつか質問していい?」
「うん」
「どういうルートで肝試しをしたか覚えてる?」
「どういうルートって……」
恭也君の質問にわたしはあの日の肝試しを思い出す。確か1階から5階までを1周したはずだ。その事を恭也君に伝えると恭也君は更に質問を重ねた。
「その廃マンションの中に大きくて古い鏡があったと思うけどその場所を通ったりした?」
大きな古い鏡……。
忘れるわけない、あの鏡にみんな驚いてたから。わたしは恭也君の質問に首を縦に振った。
「やっぱりか……」
わたしの答えに恭也君は静かにそう言った。
……やっぱり?やっぱりって何?
恭也君の答えにわたしは困惑してしまった。恭也君は何かを知っているのだろうか?
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