第1章

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帰宅したら毎回彼女が大分前に作った晩飯が置いてある。いつの間にかレンジを使うのも段々と面倒になりそのまま、1人。黙々と食べる。珍しく食べている途中でドアの隙間から知った顔が覗いていた。 「あら、まだ食べてたの?」  そっちこそもう帰って来たのか。 「いつもちゃんと会えなくてごめんね~」 「別に?俺、会えなくても待ってる時間が楽しい」好き勝手できるし。 「そ。だったら甘えちゃうね」 すると彼女は食事に目をやり「冷めたままで食べてたの?そんなんじゃ美味しくないわよ」 「そうだな」 仕方なく温めにいく今日の手作り和風ハンバーグ。毎日妙に凝った料理、愛されているのは分かるけどどうも窮屈だ。ハンバーグを食べたあと、彼女は 「ちょっとお酒付き合って」 俺は「いや、明日バイトの先輩に早く来いって言われた…」と言った。 「じゃあ仕方ないね」と言って、深夜バラエティーを見始める彼女。たまに聞こえるガハハ笑い。あーあ…  その音に合わせてこっそり携帯の出会い系サイトへ… 「ゴメンゴメン。インするの遅れた」 「いえ、私もバイトしてたので」 「あれ?カラダ弱いんじゃ?」 「あれから大分良くなりましたので、〇 〇周辺でバイトしています」  あれ。彼女の勤め先の近くだ。彼女の方をちらっと見ると酔っているのか軽い下ネタでも笑っていた。さすがにいくら近くでも、あの周辺は勤め先が沢山ある。“ネット上の彼女”には僕の個人情報は教えていないからバレる可能性はないはずだ。 「そうか、じゃあまた明日。」 「ちょっと待って下さい。あの、私の勤め先の近くに新しいラーメン屋ができたので明日一緒に行きませんか?1人じゃ入りづらくて(>人<)」  あ~やっぱりこうなっちゃったか。 「…ごめんしばらく忙しいや。この時期はどうも時間とれなくてね。」 「モグ三さんって意外と無責任なんですね。」  えっ。  それでネット彼女とはそれきりである。次の日、起こったことで俺は自分が何をしたかようやく気づくことになる。 「あんた何やってるの!?」形相がいつもと違う。 「急にどうしたんだよ。」 「あんた…浮気してるでしょ!」 「そんな金のかかることやるわけないだろ。」 「じゃあ、私の会社のバイトの子は?」 「はあ?誰だよそれ?」 「私の会社のバイトの女の子よ!」 「だから知らないって」
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