―救世主・佐藤くん―

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佐藤さんは 近くのビジネスホテルから通ってきていた。 歩ける距離だ。 3日目には、ほとんどのスタッフから、 『神が降臨した!』 とばかりに崇められ。 それがキレイ男子じゃなくとも、はるかに普通でも、あの仕事ぶりはメイク売り場のスタッフから、還暦間近のパートさん。店長をも虜にしてしまった。 もちろん私だって誉めちぎった。崇めた。 だって、いつもの奴が腹を下してないなら、彼の爪の垢でもお腹いっぱい飲んで欲しいと願うくらいだった。 いや……お腹治ったらほんとに飲まそう……。 そう思った。 店長をたて、目上や歳上には敬語。同い年くらいにも、たまに崩すがキチンとした日本語だった。 いつしか、佐藤さんは佐藤くんに呼び名が変わり、馴染み、可愛がられつつ、薬の卸さんとも普通に会話するくらいになっていた。 素晴らしいコミュ力! なんて、素敵な職場に変わったんだ。 誰もが2週間経たないでくれと願った。
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