―救世主・佐藤くん―

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2週間がいよいよ迫ってきた。 喜ぶべきか、恐ろしい事態か……。 腸炎組の4人のうち2人が、いきなり辞めた。厄介なのは2人が薬剤師だから。 残る一般従事2人は、すいません!と少し痩せたか?と思える顔で、出社した。良くぞ帰ってきてくれた!! あと3日で佐藤くんは帰ってしまう。 しかし!お前ら薬剤師2人辞めたら……店が開かない! 店長が交渉して、 佐藤くんは、しばらく居ることになった。 誰もが安堵と、喜びに包まれた。 『救世主確保!!』 でも、佐藤くん的にはどうなんだろう? 午後の休憩、私は休憩室で熱いお茶を1人で啜っていた。 そこへ佐藤くんが入ってきた。 お茶いれる?と聞いて。いただきます。と返事を聞いてから、 彼の前に差し出した。 そして、正面に座りなおすと、私はたまらず聞いてみた。 「佐藤くんさぁ。帰りたかったんじゃないの?しんどくない?」 目をぱちくりさせて、眼鏡のブリッジを持ち上げて 「実はですね。いつもいる店はもっと忙しくて、こんな和やかじゃないんです。だからむしろありがたいんです。事務さん怖いし。」 それに、せっかくだからと休みには近くを散策して、楽しむらしい。だから観光気分です。ってー!! なんていい子! つい次の日、お昼を奢ってしまった。
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