始まりの時

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『どんな人でも、最低5千円あれば、世界の創造主になれる』そんなうたい文句の看板が人々の関心を集め、今では立派な流行となった。 ある日、私もその流行に乗ろうと思った。 3月21日 私は小人を飼い始めた。 耳が変な形だったり、不思議な魔法とやらが使える、アレではない。 文字通り、小さな人だ。 私は男女の1歳児2人ずつ計4人と、彼らの養母となる年齢の高い女性を2人買ってきて、大きめのドーム状の透明ケースに入れようと考えた。 昆虫を買うのとは訳が違う。 彼らを飼うにあたって、12畳の一間を用意した。 私が周りを歩けるだけのスペースを残して、他は全て彼らの透明ケースが占めている。 そこには、海と山を作った。 海側に一組。 山側に一組、小人を置く。 ケースの端と端に位置するので、たぶん小人の足では随分時間がかかるが、お互いの住居スペースの行き来もできるだろう。 まず、それぞれ養母を入れた。 薬で眠らされていた養母を、昆虫用の小さなケースから、そっと親指と人さし指でつまんで出す。 そして、ドーム状の透明ケースの海側の家と山側の家の中に一人ずつ寝かせる。 1日も待てば、彼女達は目を覚ますはずだ。 今日はここまで。 続きは、あす彼女達が目を覚ましたら、海側には女児を、山側には男児を入れよう。
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