始まりの時

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昨日、養母二人を取り出したものとは別の昆虫用の小ケースに1歳児男女が2人ずつ入っている。 どれにしようかと考えて、そのうちの一人の男児をつまみ出した。 つまみ出された男児は、にゃーにゃーと猫のような泣き声を上げている。 私の指につままれた状態で手足をバタバタさせ暴れる。 「元気な子だな。うまく育つかな」 そう呟いて、小人飼育用ケースの上部にある開口部を開け、そこから山側の彼女の家の前に男児を置く。 まだ昼寝中だった山側の彼女は、子供の泣き声が聞こえたのか、その身体を起こし、家の外へ向かって歩き出した。 次は女児だ。 同じく昆虫用の小ケースから、浅黒い肌の健康そうな女児をつまみ出した。 女児もやはり、にゃーにゃーと泣き声を上げている。 さっきの男児よりはおとなしいが、元気な子だ。 そして、飼育ケース上部の開口部から、海側の彼女の家の前へ女児を置く。 海側の彼女は、私が知らないうちに家から出て、海に潜っていた。 夕飯を取りに行ったのだろうか。 彼女が帰宅すれば、女児に気づくだろう。 女児はそのままにして、山側の男児の様子を見た。 男児はすでに養母の胸に抱かれていた。 泣いているようだが、ドームの中のせいか泣き声は聞こえない。 ということは、ドーム内で何か話していても聞こえないということか。 女児の顛末を見守ったら、聴診器でも買いに行こう。 そう決めた。
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