始まりの時

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海側の彼女の家では、夕飯の支度中だった。 そちら側へ聴診器を当てる。 海側の養母が女児に話しかけていた。 「一人で寂しかったわね、今日からここがあなたのお家よ」 女児は男児と違い、少し言葉らしきものを発した。 「んーんま、んまぁ」 養母は微笑んでそれに答える。 「お腹が空いたのね。今ご飯ができるわよ」 女児は養母に向かって、にっこりと嬉しそうに笑いかけた。 その可愛らしい様子に養母は浮かれて話しかける。 「私の名前は尚子(なおこ)というの。あなたにも名前が必要ね。……咲季(さき)にしましょう!」 尚子は咲季を隣に座らせ、食事を始めた。 「たくさん食べて大きくなるのよ」 どちらも上手くいったようだ。 明日は2人目の子供を入れてみようか。 海側には男児を。 山側には女児を。 私はワクワクしながら、眠りについた。
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