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「なんだつまらない。てっきり、ゆるふわ怖い!!って怯えだすのかと思ったのに」由紀は表情豊かに話すから面白い。
「ゆるふわ怖い」
「うるさい」
「ゆるふわ怖いから、由紀もゆるふわな恰好してきてよ」これはチャンスかもしれない
「うるさい!なにその、饅頭怖い的なやつは」
「ひっかからないのか」チャンスは突然幕を下ろされた。
「そんなのにひっかかる奴は巨乳好きのマザコンくらいよ。」
巨乳好きのマザコンの何が分かるのか。
「そんなことよりも、あの男がなんて呼んだのか気になるわね」
「だから山崎さんの名前だろ」確か、名前で呼ぶな、と言っていた。
「そんなことであんなに怒るかな。怒らないよ」
「呼ばれたくないんだろ、変な名前なんだよどうせ。男みたいな名前を親につけられたとかだろうよ。」よくある話ではないか。
「そうかなー。あ、親と名前が似ているとかね。似すぎて間違えて彼女の親の名前で呼んじゃったり」
「おい」
それは俺のことじゃないか。
「でも山崎さん、普通の名前だった気がするんだよね。まゆ、みたいな」
「似合うな」
「うるさい。だからさ、あのしょんぼりしている彼氏に、なんて呼んだのですか、って聞いてきてよ」しょんぼりしているところに追い打ちをかけるのか
「俺が」
「そう。もしくは、そんな変な名前じゃないのにね、ってそれとなく共感して、友情を育み、なんであんなに怒ってしまったのか聞くっていう流れでもいいわ。それにスリーサイズとかも聞けるかもしれないじゃない。」
「彼氏だからと言って彼女のスリーサイズなんて知らないだろ普通。そもそも彼氏かどうかもわからないだろ」
「そうね。そこのところも聞いてきてよ。ほら早く!」
「ほんとに?」さすがにやりたくはない。
「大丈夫よ、頭をはたけば、向こうも何だなんだって振り向いてくれるわよ」
「そりゃそうだ」肩をたたけばいいのではないだろうか。
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