1人が本棚に入れています
本棚に追加
「1365円です」
この時間、食堂の隣に設置してあるコンビニは、いつも混んでいる。
学部生とコラボして作ったお菓子やらスイーツやらが置いてあるのが原因だ。
値段も安く、食事が終わると買いにくる学生が多いのだ。
「あと、これも」
と、レジ近くに置いてあった新発売のソフトキャンディーも一緒に買った。恐るべきマーケティング戦略。まんまとついでに買ってしまう。
案の定、由紀は怒った。
「何その情報。ってかなに聞いているのよ!信じらんない。ばかじゃないの。それに教えちゃう彼氏も彼氏ね。最低。最悪。罰としてコンビニでお菓子とかたくさん買ってきて」
怒らないでねって言ったのに無駄だった。
むしろ自分が言ったことなのに。
「あれ」
由紀の姿を探していると、頭をはたかれた。
「遅かったね、悠司。」自分こそどこに行っていたんだ。
「混んでたの?それともまた胸のサイズを聞き回ってたの?」呆れた顔で話してくる。
「俺は祐太だ。」悠司は俺の親父の名前だ。まだ少し不機嫌なのか。
「まあいいわ。聞いて!私はほんとにすごい情報を手に入れたの!」
由紀は活き活きした表情へ様変わりしてくれた。このまま不機嫌もどこかへ行ってくれることを願わずにはいられない。
「山崎さんの名前が分かったのよ」
「まさみだろ」
「それが違ったのよ、まゆこだって。本人から聞いたのだから間違いない」
「え、本人に会ったの?」
「あんたが売店に行った後、私もトイレへ行ったの。そしたらトイレになんとあのゆるふわ巨乳の山崎さんがいたのよ!」
しばらくは俺が山崎さんの胸のサイズを聞いたことを恨みそうだな。
「で、本人に聞いたのよ、山崎なにさんでしたっけ、って」
得意げな顔が少し愛らしく思うのは秘密だ。
「というと、まさみじゃないって思ってたのか」
「そりゃそうよ、まさみ顔じゃないし、まゆっぽい名前だったのは覚えていたからね」適当じゃなかったらしい。
由紀が、にやっとした。
「元カノね」
最初のコメントを投稿しよう!